
Synth Curated by Amadour
1 Jul–30 Jul 20231990年、米国ワシントン州シアトル生まれ。ロサンゼルス在住。スワースモア大学でスタジオアートと中国語を専攻したのち、カリフォルニア大学ロサンゼルス校でセラミックを専攻し美術修士号を取得。
日系・アフリカ系アメリカ人であり、そしてゲイのアイデンティティを持つアンダーソンは、アメリカにおけるアイデンティティ・ポリティクスやセクシュアリティの問題に取り組むセラミック作品を制作している。一見すると遊び心に溢れる、バロック美術や日本のポップアート、現代のファッションやデザインから影響を受けたアンダーソンの作品は、非西洋圏やマイノリティの文化に対する西洋社会の認識について深い問いを投げかけている。アンダーソンが作品に組み込んでいる古典的な西洋美術の美意識は、皮肉なことにクィアやフェミニンな美意識と共通点を持ち、また、陶器という素材そのものがアジア・アフリカ・アメリカ大陸間の帝国主義貿易の歴史を思い起こさせる。日本のポップアートにインスパイアされた笑顔の花やかわいい動物たちは、アンダーソンのルーツに接続されるモチーフであるとともに、表面性や完璧さに対する洞察でもある。アンダーソンは、自身の様々なアイデンティティを反映するモチーフを用いることで、周縁化されフェティシズムを向けられることによって語られてきた歴史を批判し、より複雑で細やかな物語を提示しているのである。